お家と家族-ドイツパン旅-

お家と家族-ドイツパン旅-

メクレンブルク

 

 

みなさんこんにちは、今日はドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州に行ってパンを作ったり畑仕事をしたり猫を撫でたりする話です。

おそらくは聞きなれないメクレンブルク=フォアポンメルン

ドイツの北に位置する州で、バイエルン州(ミュンヘンがあるところ)なんかに比べるとかなりマニアックな地域ではないかと思います。

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北海に面していて、上は北欧の国々と隣はポーランドと国境を接しています。第二次世界大戦後は東ドイツに属していた地域。

周りに山はほとんどなくなだらかな丘がずーーーーっと広がっていて、農業と漁業が盛んです。よう

一番近い大都市であるベルリンに到着後(到着するまでの話はこちら)、ベルリンで一泊したのちに電車で3時間乗り継いでついた村に今回、僕がお世話になった小規模農家兼パン屋兼果樹園はあります。

 

お家紹介

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こちらがそのお家。レンガ造りで築100年!は経っているらしです。つまりは第二次世界大戦も東ドイツも知っているお家。中は改装して新しくなっています。

この写真の右上が僕が滞在した部屋でした。

家の裏には畑や庭があります。

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庭の木と隣には畑小さな畑。それと道具小屋があったり。

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羊小屋があったりします。

羊からは糸を作っていることもあったらしいのですが、今は「くさすぎる!!!」という理由でどうすることも出来ず、ためこんでいるようです。もったいない!!!

家畜は羊以外に卵用の鶏も8匹います。

写真で途切れ途切れに見ていると、大きいように思えるかもしれませんが、畑の面積全部合わせても50×50mほどの面積しかありません。それでも自給よう畑なので十分らしいです。

 

家族紹介

 

 

お父さんのマティアスさん、お母さんんのアンカさんそれと長女のテレサさん、テレサの息子さんのルカくん(まだ9ヶ月)と三女のマーガちゃんが暮らしています。

三人姉妹ですが、次女さんは今大学で音楽の勉強をしていて、ライプツィッヒで暮らしてるのでいませんでした。

みなさん音楽好きの音楽一家。

マティアスさんは教会で歌うこともあるそう。長女のテレサさんもミュージカルブルースブラザーズに出演中。マーガちゃんもピアノをしています。

お母さんのアンカさんはビーガンでお肉を食べません。でも、動物性のバターや牛乳は大好き。家族に肉を焼くこともあるということなので、すごく厳格というわけではないようです。

それでも食卓に並ぶものはBIO(オーガニック)の食品やveganマークがついたもののみ。アイスも一度作ってくれたお米(イタリア米)、冷凍のピザでさえも、ぜーーーーーーんぶBIO・vegan、こんなに種類があることにまず驚きました。

さすがは環境大国ドイツと思ったのですが、お母さん曰くドイツのBIO(オーガニック)農家は全体のたった6パーセント。家の近所には他にバイオダイナミック農法の酪農家がいるだけであとは60km行かなくてはBIO農園はないとのことでした。(ちなみに、日本は平成22年で0.5%なのでそれよりはずいぶんと多い様です。ドイツにはマイスター制度があったりと日本と基準が違っていて一概に比べることは難しいですが。)

確かにここの家の周りは燃料用のデントコーンや油ようの菜種畑だらけ。前タイヤ4本、後ろタイヤ4本の北海道でもほとんど見ることのない超巨大トラクターがドガドガ走り回っていました。

周りの畑はどれもモノカルチャーで輪作していないらしく、マティアスさんたちは怒っていました。

なので、パーマカルチャーやバイオダイナミック農法の話をするととても会話が弾みます。

 

長女のテレサさんは23歳で僕と同い年。だからか音楽の趣味などもあって楽しかったです。

僕が来て4日ほどすると彼氏のシモンさんが帰ってきて、自分の家の方に帰ってしまいました。(シモンさんがいる間は自分の家にいて、シモンさんが海外に演奏に行く時は実家に行って子育てを手伝ってもらっているようです。)

この彼氏のシモン、ジャズミュージシャン4ヶ国語が喋れてスイス出身イケメン性格がめっちゃいい。僕が戦闘力5だとするとシモンは戦闘力53万です。そうです農民とフリーザくらい違います。

 

ベルリンの壁が崩壊したのは25年前。なのでテレサさんに壁の話をすると

「外国の友達はみんなそれを言うけど、私は全くわからない。」

と言って笑っていました。

 

お父さんとお母さんはバリバリ東ドイツの出身。ちょうど23くらいの頃に壁が崩壊したらしいですが、崩壊した時には「ああ、そうか。、そうだよね。」ぐらいにしか思わなかったらしいです。

「壁が壊れた時嬉しかった?」と聞いたら

「NO.」と言っていました。

でも、崩壊してすぐマティアスさんはスコットランドにヒッチハイクで行っているので、嬉しかったんじゃないかな〜。と勝手に想像しています。

 

ペットの犬は15歳のおばあちゃんボーダーコリー。名前はレッドです。

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「ぜ、全然赤くねえ。。。」って突っ込みたくなりましたが、さすがにできませんでした。

ドックフードはBIOなの?と聞いたら笑いながら「普通の」と言っていました。

ちなみに僕は愛猫のためにBIOのキャットフードをお土産で買って帰りました。BIOでグルテンフリーならぬグレインフリー(穀物が入っていない)らしいです。

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こちらのお家には猫ちゃんは三匹もいます。白黒のポウリとヨモギ猫と黒猫。

ポウリとはものすごく仲良くなりました。でも黒猫とヨモギは人見知りみたいでなかなか近づいてはくれません。

皆一応ご飯はもらっているものの半野良のような感じ。庭の中でのびのび暮らしてます。

 

 

パン工房

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なんとこちらが家から30mほどのところにあるパン工房です。

す、素敵すぎるやろ〜。。。

もともとここは、東ドイツ時代には村の人が集まって服を洗うところだったらしです。共産圏だった東ドイツやソ連は家にキッチンがないところもあり、主婦が一箇所に集まって集団で家庭の料理を作っていたらしです。今でいうセントラルキッチンの家庭版といったところでしょうか。こちらはその考え方に基づいてで洗濯もしていたんですね。

東西合併後、使わなくなっていた時にマティアスさんが移り住んでパン工房にしたということです。ファインプレー。

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全部のパンをこの薪釜で作っています。ここにでっかい水槽がかつてはあって服を洗っていたらしいです。

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こちらはパンを作る前日。スターターを仕込んでいます。スターターはライ麦100パーセントのいわゆるサワー種(サワードゥ)というやつです。

このこねるマシーンも60年も動いているんだとか。なので今の形とは違う形をしています。

ちなみに、グルテン含有量が小麦と比べるとかなり少ないライ麦にはこっちのタイプの方が向いているという説もあります。

 

粉は全部作る前に挽きます。こちらは製粉機。ただ、この製粉機も古いらしく新しいものが今頃には届いているはずです。

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つまりはすべて種で仕入れているとのことです。ライ麦以外にスペルト小麦からす麦も使います。もちろん全部BIOです。というかこの滞在の間に口に入るものでBIO以外のものは存在しないような気がします。

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ということは作るパンはぜーんぶ全粒粉でもあります。

パンに詳しい方なら想像できると思います。

つまりはふわふわもちもち系のパンの真逆。ずっしり重量級のパンになります。

ヤマザキパンと同じ「パン」というジャンルなのが信じられないパンができます。

強いて言うなら、りゅうちぇるカール・ハインリヒ・マルクスぐらい違います。

 

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というわけで、次回はもう少しパンや食べ物のことを書いていきたいと思います。

 

 

 

前回↓

札幌からベルリンへ-千歳、成田、ウィーン、ベルリン-

畑の話↓

ogabatake

改装の話↓

家2