草取り

草取りが終わらない。

草を取ったなと思った側から、復活して生えてくる。流石に振り向くともう伸びてるなんてことはないけれど、数日経つともう生えている。

草を刈っただけだとダメで、取った草をその場に置いといても、その後に雨が降ったりするとすぐに復活する。根ごと取って袋に入れて草ゴミの日に捨てたら少しは復活までの猶予は稼げるけれど、細かい雑草がびっしり生えている場所は取り切ることなんてできやしない。ので、気がつくたびに取るしかない。

気がつくたびに取るしかないので、最近は気が付かないようにしている。気がついても、気がついていないフリをする。

草を上手に取れば何ヶ月と生えてこないのかもしれないけれど、そこらへんの技術は一向に良くならない。ただ草が生えてきていることに気がつかないフリをする技術に関してばかりがメキメキと向上していく。

たまに、家の周りがコンクリで固めているわけでもないのに全く草の生えていない家がある。除草剤を振っているわけだが(それかめちゃくちゃこまめに草取りをしている。その可能性は低い。)、そういう家よりは草がボウボウっと茂っている家の方が僕にはよく見えたりする。よく見えたりすることに託つけて「今日は草取りしなくていいか〜。」と言ってみたりする。

がしかし、たまには草を取らなくてはいけない。

夏場は日中は暑いから夕方に草取りをする。好きなYoutubeをBluetoothのイヤホンで再生しながら草取りをすると意外と楽しかったりする。

ふと思ったのだけど、世の中、草取りなんてしないで生きている人の方が多いんじゃないだろうか。マンションに住んでいる人は草取りはしないだろうし、戸建てに住んでいる人も庭がなかったり、外構をアスファルトで埋めていたらその必要もない(ど根性タンポポはそのうち生えるだろうけど)。そうやって考えると夕方に草取りをする気持ちよさをおそらく知らないのだ。ガハハハ、羨ましいだろう。草取りをしない人生なんて夏休みのない8月のようだって野田洋次郎も歌っていた(と思う)。

羨ましかったら、やってくれ我が家の草取り。

今日もこれから草取りに行こうか。

いやでも、まだ多分大丈夫だからまたにしよう。