ゼロからパンを作った話。

ゼロからパンを作った話。

ゼロからパンを作れるんじゃないか。とふと思った、思ってしまったのは、小麦を作り始めて2年目の頃。


僕は農家ほど大きくはないけれど、家庭菜園よりはちょっと大きい畑をやっていて、そこで小麦を育てていた。その育てた小麦は何にしていたかというと販売するのでもなく、大抵は自分で粉にしてパンを作ってみたり、お菓子を作ってみたり。大量生産では無いからあくまで楽しむ程度。


パンは牛乳やバターがたっぷり入ったハイカラな物じゃなくて、塩と水と小麦粉しか入っていない素朴な田舎パン。それと、パンを作るには膨らませるためのドライイーストがいる。けど、ドライイーストじゃなくて、天然酵母でもできる。というか、天然酵母から膨らませる能力だけを抽出したものがドライイーストらしい。人間から喜怒哀楽の感情を抜いて労働するだけの人造人間を作るようなことだろうか。よく分からないけれどそんなことができる技術はすごい。


天然酵母の作り方は色々なやり方がある。興味がある人は詳しく書いている本を各々探してもらうとして、僕はと言えば小麦と水を混ぜるだけの簡単なやり方で天然酵母を作っていた。いわゆるルヴァン種と呼ばれるものだ。(細かくいうとルヴァン種は小麦粉とライ麦粉と水で作るらしいので、僕のはルヴァンとは言わないかもしれない。)

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鮮度の問題なのか、はたまた綺麗すぎるのか、スーパーで売っている小麦粉を使ってルヴァン種を作ろうとしてもうまくいかないことが多い(らしい。)。けど、自分で育てた小麦の全粒粉は違う。鮮度がいいからか、喜怒哀楽が豊かなのか水と混ぜて常温で置いて、また次の日に粉と水を入れてというのを繰り返すと、喜んでいるのか、怒っているのか、悲しいのか、楽しいのかぶくぶくと泡立ってきて、いい匂いの酵母ができる。天然酵母は冷蔵庫に入れて日々水と小麦を同量ずつ加えていく。最初は安定しないけれどしばらく続けると安定してくる。大人の天然酵母になって感情も落ち着くということだろうか。まあなんにせよ天然酵母も水と小麦粉しか使わない。


小麦の栽培は簡単だ。

土がある場所ならどこでもできるんじゃないかと思う。パラパラとまいて、薄く土をかけるだけ。後は適度に水を撒けばいいけれど雨水で大丈夫。草とりをしたほうが良かったり、カビを出ないように管理したり、カビそうなのがあれば捨てたりしていれば夏の終わりになって収穫できる。ここまではいい。
それからが大変。収穫も大変。鎌で地道に切っていき、ある程度の束でまとめて少し乾燥。それから脱穀(叩いたり、脱穀機を使ったり)してそこから唐箕で小麦と皮や小石などと分けて綺麗な小麦だけにする。と書けば一行、でも実際にやるととても大変。1キロの小麦をとるのも結構大変で、その時間ウーバーイーツの配達でもすればそれなりにいい小麦粉を3キロは買えるんじゃ無いかってくらい時間もかかる。逆に言えば時間をかければできないこともない。小麦の粒ができたらそれを粉にする。僕は製粉機でやりましたがなければコーヒーのミルなんかでも大丈夫。ただ、擦った後に細かめのザルなんかでフスマという小麦の皮の部分をある程度減らさないとパンがじゃりっとしてしまいます。


 パンを作る上で問題は塩なわけです。塩って、えっと、どこで採るの?答えはほぼ一つしかないわけです。海です。海。僕たちの母なる海。岩塩なんて札幌にないだろうし。
 なので、札幌近郊の山に精通している母に連れられ小樽のある山に行きました。山?山です。ここを少し登り下り海岸に行くわけです。

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アクセスのいい海水浴場でも同じ海水ではあるのですが、なんか汚そうだなと思い、あまり人のいない場所で淀んでいな海水のほうがいいだろうと思ったわけです。

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海に行くために登山をして、海水をバケツにすくいそれをペットボトルに入れていざ帰宅。


 とってきた海水は炊飯器の保温でゆっくりと水分を飛ばして最後は天日干し。
 揃いました、水(せっかくなので山の水を汲める場所からもらってきた水)と小麦と天然酵母と塩。


 作れるぞ!パンが!!

素材用


 で作ったわけですが、味は、

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 そんなわけで今は小麦もあまり作らずにパンを買った粉で作っていることがほとんどですが、パンという人類史の一番の主食をゼロから(車で移動しているし、自給自足とは言えないかもですが)作ってみると小麦を大規模で作って、それを粉にして、パンを作るという分業やフードチェーンの凄さ恐ろしさにちょっとは触れれた気にはなりました。
のでまあ、よしとしよう。

ちゃんちゃん。