タネから麦茶を作った話。2017
僕は「飲み物」が結構好き。とはいえ、お酒は飲まないので、コーヒーとか紅茶とか、そういうカフェでしっぽりいただくような「飲み物」が大好き。
だから、自分でも作ってみたいと思うのだけど、北海道という土地柄、こういった嗜好性の高い飲料の生産物を作るというのはなかなかハードルが高い。もちろん果樹系のジュース以外の話ね。
その理由はいたって単純でお茶が育たないから。。。
東京の大学時代。厚田でお茶畑の実習をさせられたのを今でも覚えている。蜂が茶畑から出てきて刺されて、具合悪くなったという思い出もある。だから関東圏では嗜好性高い飲料も結構作れる。緑茶だけではなくて、緑茶があるならそれを発酵させて紅茶を作ることだってできなくはない。
でも、北海道ではお茶は育たない。
が、しかし、麦茶の源である大麦は栽培することができる。
まあ確かに、紅茶に比べると何だかとたんに魅力を感じなくなってしまうかもしれない。だって、「紅茶」って聞いて思いつくものといえば「イギリス」とか「アフタヌーン・ティ」「カレルチャペック」などなど。それに対して「麦茶」と聞いて思い出すことといえば「実家」「おばあちゃん家」そして「笑福亭鶴瓶」だ。
紅茶のイギリスに対して、麦茶は笑福亭鶴瓶。どうもイメージが。なんというか。おしゃれじゃあない。
でも、健康にもよく、紅茶にも負けないくらい美味しい。そんな麦茶作りの話です。
始まりは秋です。北海道では春に撒いても収穫することはできます(山の畑では同じ品種を春に撒いています)。でも、森の畑はなんとなく秋まきをしました。確か、秋に一緒にやっているみなさんとすることがなさすぎて、撒いてみたのだったと思います。
使ったのは「シュンライ」という六条大麦の品種です。いわゆる麦茶に使われる大麦で、ビールの原料になる大麦とは品種が違っています。
上の写真の穂についた一つぶ一つぶがタネになります。
ちなみにタネはいつもネットで買っています。つる新種苗さんの麦のラインナップが僕は好きです。気になる方はのぞいて見てください。
撒いたらあとは勝手に育ちます。気をつけることは、麦特有の病気を発生させないようにすることでしょうか。
薬を使わないのなら尚のこと、弱そうな株は除いたり、密集しているところは風通しが良くなるように改善したり。人間はあまりすることはありません。
ので、少し大麦の話を書くことにしようと思います。興味のない方は飛ばしてください。
ちなみに去年も長々と麦茶のことを書いていました。こちらも興味のある方は覗いて見てください。
毎年おんなじことしてるな。
今年は使っている麦のことを少し書こうと思います。
さて、麦には色々種類があります。
小麦、ライ麦、大麦、ハトムギ、オーツ麦などなど。小麦はパンや麺に、ライ麦は黒パンに、大麦はビールに麦茶などにハトムギはお茶に、オーツ麦は馬の餌やグラノーラ(幅広!)になります。
そんな中で麦茶は大麦です。
大麦は大きく分けて、皮麦と裸麦とがあります。それは皮麦は皮が実にくっついていて剥がれ辛いもの。裸麦は小麦なんかと同じもののように、皮がツルッと向けて実だけになるものです。実だけの大麦=押し麦だったりします。お米と一緒に炊くアレです。
さらに、皮麦も大きく分けて二種類あります。それは二条大麦と六条大麦。穂を上から見た時に二列なのが二条大麦で、六列なのが六条大麦ということです。
二条大麦は主にビール麦です。六条大麦はたんぱく質が多く、対して二条大麦はたんぱく質が少なく、全体的にビール作りに適した栄養を備えているらしい、ので、ビール麦は普通二条大麦です。
つまり、皮麦で六条大麦が麦茶に使われ、皮麦で二条大麦がビールになり、裸麦はモルトになったり、押し麦になったりしています。
というわけで、簡単に大麦の分け方でした。
栽培したら収穫です。
ひたすら手鎌で刈り取ります。
なんだかんだで時間がかかります。刈ったら束にしてまとめて紐で固定します。
そしてそれを軒下や玄関なんかに干して乾燥させます。
収穫から一週間ほどしてそうこうしてやっとこ脱穀の工程です。
木の棒でバシバシ叩いて粒を落とします。あとは手で揉んだりして落とします。脱粒性というのですが、穂からタネが落ちやすい性質があるので割と簡単に落とせます。
そうしたら選別です。僕は普通のフルイと扇風機唐箕を使っています。
もう扇風機唐箕も三年目です。慣れたもんだ!!
の、はずですが、受け止める箱の小ささ。でもなんとかなります。
2回から3回唐箕とフルイを通すことでほぼ完璧な状態になります。そこからは目で見て少し汚れているもの、カビが発生しそうなものなどを避けて、やっとこさ焙煎の工程です!!
焙煎機はコーヒー用の焙煎機を使ってひたすら回していきます。
そうこうしてできたのがこちら。
いい感じ!!
お茶を入れて湯を沸かして。
美味しそう!!!タネを撒いて収穫して、脱穀して焙煎して飲むまでまで全部森の中。干すのだけ別のところでしただけで、フードマイレージゼロの麦茶。もちろんカセットコンロはガスを使っているから完璧な自給とは言えないのだけれど、こんなこともできる。一から麦茶を作ることもできる。
味はもちろん最&高!!!
去年は少しだけ販売もしました麦茶。もう少ししたら本格的に収穫も始まります。夏の間に加工場も作り終わる予定です。これからはもっと少しでもいろんな人を巻き込み巻き込まれして、「食」というものを考えていきたいと思います。
また来年もこの時期におんなじようなことを書く気がします。よろしくどうぞ!!