『山椒魚戦争』チャペック

『山椒魚戦争』チャペック

さて、僕が1週間に2日の更新ということでずーっと続けているばうあー日和ですが、ネタがなくなった時には読みためた本の感想文を書いています。

今日は文字どおり、ネタがないので最近読んだ本で一番面白かった本=『山椒魚戦争』を書こうと思うます。

それに単純に面白かっただけではなく今読むべき本だと思います。

 

最近「今こそ『1984年』を読むべきだ。」ということが色々な人やらメディアから発せられています。『1984年』はジョージ・オーウェルが書いた本で、ビックブラザーが支配する監視社会を描いたディストピア小説です。

なんで「今こそ」なのかと言うとアメリカではNSAの盗聴問題とスノーデン、日本は秘密保護法と今も話中のテロ等準備罪などなど、政治が「規制と監視」に関する方向を大きく変える時には必ず話題になります『1984年』。

村上春樹が『1Q84』で名前をパクったり、あとはAppleのCMのモデルとなったことでも有名ですね。

その後もカニエウエストが『BIg Brother』と言う曲を作ったり、もう本当にありとあらゆるところで引用されています。

それもそのはず、この『1984年』めちゃくちゃ面白いです。

ちなみに実際の1984年の日本はと言うと安全地帯やチェッカーズや松田聖子や中森明菜に熱狂しています。それで、1984年のヒット曲を調べたんですが1位がわらべ「もしも明日が、、、。」なんですがこれ何???

一応Youtube貼っておきます。

他の名前は一応知っているのですがわらべって、わらべって。名前もっといいのあっただろうに。わらしべとか。

 

 

で、山椒魚戦争です。

 

僕はそんな素敵に面白い且つ予言ちっくな「1994年」と合わせて読むべき本がこの『山椒魚戦争』だ。と本気で思っております。

いやむしろこっちの方が先に読むべきぐらいです。

まず、基本的に1984年が描く世界は共産主義国的ディストピアです。ちなみにジョージ・オーウェルはそれそのものを批判しているのではなく、むしろ共産主義国のよくない点を明らかにすることの方が大切だと言っていいと思います。

ジョージ・オーウェルの他の代表作『動物農場』も大体同じテーマです。こちらの方がより直接的ですが。

ちなみに僕は小学生ぐらいの頃、この動物農場を実写で見たことがあります。

その頃ベイブにはまっていて、それと同じ流れだろうと思って借りたのですが、がっつりトラウマになりました。これから「動物農場」を読む人は覚えておいてください。豚さんが登場するけど、その豚さんはベイブとはだいぶ違います。

 

民主主義だろうが資本主義だろうが、ある程度は国として社会主義っぽい政策は取ります。それが生活保護だったり、ベーシックインカムだったり、全くイコールではないけれど、自由よりも平等を重んじると言う意味では共産主義的でもあります。

だから、今の実際の社会のかなで監視や規制が強化されるのなら、それは確かに1984的な世界に近づきます。ただ、それだけではもちろんありません。監視や規制を強化されても一応は日本は資本主義国なので『1984年』で描かれる世界はどこか現実離れしているようにも思えます。

1984年が社会主義的なディストピアなら、山椒魚戦争は資本主義的なディストピアが描かれていると思います。

そのハイライトが株主総会です。

これは面白いな〜。と思うのですが、小説の形を取りながらチャペックは株主総会の議事録をかなり長く載せます。それがよりリアルに伝わってくる。

株主総会の内容はと言うといかに効率よく山椒魚を管理するのかと言うことと、どうしたら山椒魚を使って会社を大きくすることができるのかと言うことだけです。

山椒魚を有効な資材として捉えている点で、これはエネルギーにもその他なんの資源にも置き換えることができる内容です。それがこの小説ではたまたま山椒魚なだけ。

山椒魚という資源を必要以上に消費することで、人間に後々危害が及ぶ。

ただ、この中で作者のカレルチャペックが本当に描きたかったのはそれだけではないかもしれません。

それは山椒魚のリーダーの呼ばれ方にヒントがあります。

山椒魚のリーダーは総統と名乗ります。

さて、総統といえば誰が思いつくでしょうか。

そうヒトラーです。

間違えましたこれはチャップリンの方のヒトラーでした。

こちらです。

また間違えました。これはクソつまらなさそうな映画の方のヒトラーでした。

詳しく知りたい方は「ナチス・イン・センター・オブ・ジ・アース」を調べてみてください。予告編からして強烈なクソさです。僕は絶対見ません。人生で最高に無駄な2時間になると思うからです。

 

さて、カレル・チャペックがチェコで暮らしていた頃、ナチスが盛り上がってきており、チャペックは小説の中で大々的に批判しているわけです。

山椒魚はやがて人間を下等な存在として戦争を繰り広げます。人間は山椒魚を下等な存在として蔑んでいます。両方とも相手を見下します。それに否定します。

民族規模で他民族を蔑むことと否定することが両民族間で起きればそれはつまり戦争になります。見下しと否定のブレンドが戦争なわけです。

で、小説では山椒魚戦争になるわけです。

この終わり方も、まあ悲しい。それは是非読んでみるか、本屋さんで最後のページだけ読んで見てください。

 

ちなみに、チャペックはナチスに目をつけられ、チェコに侵攻したナチスドイツはまずチャペックを捕まえようと家に押しかけます。が、その少し前にチャペックは肺炎で亡くなっていました。

チャペックは園芸家の側面もあり(こっち関係の本もたくさんあります)、嵐の時に庭が壊されてしまうのが心配で雨の中出かけて行って結局自分が肺炎になって亡くなってしまったわけです。

でも、好きなことをして死ぬのは、ナチスに捕まって獄中で死ぬと言うようなことよりもずっと幸せなように思えるので良かったのなと、勝手にそれから80年ほど後の日本で今はやりのSuchmosを聞きながらのほほんとこれを書いている僕は思ったりします。

チャペックは経済的合理性を求めすぎる社会と民族間の衝突を山椒魚が人間ほどの知能を手に入れると言うありえない設定で描きました。

これはすごい。

本当にすごい。

資本主義に生きているのなら、日本が戦争がどうのと言うのなら、『山椒魚戦争』読んだ方がいいぞ。

 

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